フィギュアスケート

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週末は、台風上陸や衆議院選挙等、様々なニュースがありました。そんな中、フィギュアスケートGSが男女とも行われ、羽生結弦選手が2位、樋口新葉選手が3位に入賞しました。

今大会を制したネーサン・チェン選手(18=米国)は5種類の4回転ジャンプ(羽生選手は4種類)を操るなど、若手の追い上げる勢いが如実に現れてきました。

そして毎度思うのは、フィギュアスケートのジャンプの種類と難易度について、理解出来ないなあ・・・と。

いい機会なので、種類と難易度について調べてみました。

<ジャンプの難易度>

3回転までは解説でも英語を使いますが、4回転ジャンプは「クワドラプル」とは使わないですね。こういう表現をすると初めて知りました。

この採点基準を見る限りトゥループ→サルコウ→ループ→フリップ→ルッツ→アクセルという順に難易度が上がっていくことが分かります。

名称 略称 基準 回転不足
シングル・トゥループ 1T 0.4 0.3
シングル・サルコウ 1S 0.4 0.3
シングル・ループ 1Lo 0.5 0.4
シングル・フリップ 1F 0.5 0.4
シングル・ルッツ 1Lz 0.6 0.5
シングル・アクセル 1A 1.1 0.8
名称 略称 基準 回転不足
ダブル・トゥループ 2T 1.3 0.9
ダブル・サルコウ 2S 1.3 0.9
ダブル・ループ 2Lo 1.8 1.3
ダブル・フリップ 2F 1.9 1.4
ダブル・ルッツ 2Lz 2.1 1.5
ダブル・アクセル 2A 3.3 2.3
名称 略称 基準 回転不足
トリプル・トゥループ 3T 4.3 3
トリプル・サルコウ 3S 4.4 3.1
トリプル・ループ 3Lo 5.1 3.6
トリプル・フリップ 3F 5.3 3.7
トリプル・ルッツ 3Lz 6 4.2
トリプル・アクセル 3A 8.5 5.9
名称 略称 基準 回転不足
クワドラプル・トゥループ 4T 10.3 8
クワドラプル・サルコウ 4S 10.5 8.1
クワドラプル・ループ 4Lo 12 8.4
クワドラプル・フリップ 4F 12.3 8.6
クワドラプル・ルッツ 4Lz 13.6 9.5
クワドラプル・アクセル 4A 15 10.5

フィギュアスケートのジャンプは回転が多いほど高い得点が得られます。そのため、回転数を追求します。

しかし、回転が足りない場合は得点が減らされます。ただし、4分の1までの回転不足は不足にはならず、得点も減らされません。回転の不足分が4分の1を超えると「アンダーローテーション」、2分の1を超えると「ダウングレード」という評価になります。

1)アンダーローテーション(1/4~1/2の回転不足)
ジャンプの回転が4分の1~2分の1の場合(と判断された場合)は、アンダーローテーションと呼ばれる回転不足と認定されます。
ローテーションというのは「回転」という意味です。

2)ダウングレード(1/2を超えた回転不足)
そして回転が2分の1以上足りない場合はダウングレードという評価になります。つまり1つランクの低い回転になります。
トリプルアクセル(=8.5点)ならダブルアクセル(3.3点)として判定されるという意味です。これは痛いですね。

3)ジャンプの転倒による減点について
ジャンプで転倒した場合は、基礎点から1点の減点があります。
トリプルアクセルなら8.5点なので、1点マイナスされ、7.5点になるというわけです。

ただし、そこに回転不足でダウングレードなんかされると……ダブルアクセルと認定され(=3.3点)、さらに転倒による減点(-1点)により、なんと2.3点になるということです。すごく低いですねー。

<ジャンプの種類>

難易度の優しい順に解説します(出典: MonkeySee

○トゥループ

いちばん易しいとされるのがトウループジャンプです。
右足外側のエッジに乗り、左足のトウをついて踏み切ります。ループと同じく、滑ってきた軌道を利用しながらトウをついて跳ぶので、最も跳びやすいジャンプとされ、観戦者の目には、自然の流れに乗って跳んでいるように見えます。
男子シングルで跳ばれる4回転は、その大半がこのトウループです。また、コンビネーションジャンプの2つ目に跳ぶジャンプとしてもよく使われますから、競技中、いろんな場面で見ることができるジャンプでもあります。

○サルコウ
サルコウジャンプは、ループ、トウループと同じく、ジャンプする直前の体の進行方向が、ジャンプの回転方向と同じです。そのため滑る勢いをそのままジャンプに生かしやすく、比較的難易度が低いとされるジャンプです。
左足内側のエッジで滑りながら、右足を前上方に振り上げて跳ぶので、瞬間、内股が「ハ」の字になります。踏み切るときにスキーのボーゲンのような体勢になったら、サルコウと判断できると思います。
比較的易しいジャンプなので、男子ではトウループに次いで4回転ジャンプに使われるジャンプです。日本の安藤美姫選手が、女性では初めての4回転ジャンプを決めたのもこのジャンプです。

1909年にスウェーデンのウルリッヒ・サルコウ選手が初めて跳んだ事が名前の由来です。

○ループ

右足踏み切りで、トウを使わないジャンプがループジャンプです。

右足外側のエッジで滑りながら、左足を少し前に出して、滑ってきた勢いを使って踏み切ります。跳ぶ瞬間に、イスに腰掛けたような格好になるのが特徴です。

トウループも同じように右足外側エッジに乗って跳びますが、トウループはフリーレッグのトウを氷につくので判別は容易でしょう。

比較的難易度の低いループは、トウループと同じくコンビネーションジャンプの2番目に跳ばれることが多いジャンプでもあります。ただし、着氷した右足でトウピックの助けなしに再び跳び上がらなければならないため、トウループよりも難しいとされています。

○フリップ

ルッツと非常によく似ているので見分けるのが難しいのがフリップジャンプです。

ジャンプする直前に左足内側のエッジに乗り、右のトウをついて跳びます。慣れるまで、なかなかルッツとの見分けがつかないかもしれませんが、前向きに滑走して踏み切る直前にぱっと後ろ向きになって跳ぶことが多いので、これを1つの判別ポイントにしてみてください。会場で見分けられなかった方は、テレビでの観戦の機会に解説を参考にしながらじっくり見てみるといいでしょう。フリップとルッツの判別がすぐにできるようになったら、“ジャンプ通”だそうです。

○ルッツ

アクセルの次に難しいとされるのが、ルッツジャンプです。
ルッツは、少し長めに左足の外側エッジに乗って後ろ向きに滑走し、左肩をぐっと入れて右のトウをついて跳びます。滑走で描いてきた軌跡と反対の回転をかけながら踏み切るので難しいとされるジャンプです。「左足外側エッジ」というのが重要なポイントで、これが「左足内側エッジ」に体重を乗せてしまうと、正しくないエッジと判定されて減点対象となります。
長く左足で後ろ向きに滑走して跳ぶ選手と、右足で滑走して踏み切る直前に左足を右足にかぶせるようにクロスさせて踏み切る選手がいます。後者の場合、フリップとよく似てきます。

フィギュアスケートを見ていて、ジャンプに備えた助走が「なんか長すぎない??」と思うときってないですか?
実は、ほとんどがルッツジャンプという事です。じゃあ、なんで助走が長いかというと難しいからなんですね。

○アクセル

難易度が最も高いアクセルジャンプ。アクセルジャンプの特徴は、前向きで踏み切ること。6種類のジャンプの中で、前向きのまま踏み切るのはアクセルだけなので、技術的には高難度でも、見分けることは比較的簡単です。

着氷は常に後ろ向きですから回転数は1/2回転加わり、1回転半がシングルアクセルとなります。

男子選手にとって、トリプルアクセル(3回転半)で得点を稼ぐことが上位に食い込むための重要な鍵になります。しかし前向きで踏み切るのは難しいため、選手によってはさらに高難度とされている4回転トウループのほうが得意という人もいます。

当然、女子にとってはことさら難しいジャンプとなり、トリプルアクセルを成功させた女子は過去に数えるほどしかいません。

浅田真央選手は「トリプルアクセルと歩んだ人生」と表現したように、極めるのが難しいジャンプなんですね。

ジャンプだけでなくステップや表現等色んな要素がありますが、まずはジャンプについて理解すれば、また競技の見方が変わってくるのではないでしょうか。